化学的性質

①常温、常圧では無色の気体で、特異な不快臭(腐卵臭)を有している。
②空気(酸素)の存在下で長期間保存すると、徐々に分解を起こして硫黄を遊離する。
③着火し易い可燃性気体で、空気中では青白い炎をあげて燃焼し、二酸化硫黄(亜硫酸ガス)を
 発生する。H2S+3/2O2 → SO2+H2O+124.1kcal
④熱分解特性は400℃で分解が始まり、1700℃では完全に成分元素の硫黄と水素に分解する。
⑤爆発範囲は広く、空気中に硫化水素が漏洩すると容易に爆発性混合気体を形成する。
⑥気体比重は空気の約1.2倍と重く、地を這って遠くまで伝播して逆引火することがある。
⑦酸化剤と激しく反応する。Cℓ2・NF3・NO等が存在すると自然燃焼を引き起こす。

取扱上の注意環境安全対策

①硫化水素は腐食性の強い気体である。特に水分の存在下ではその腐食性は著しく、ほとんど全ての
 金属と反応する。中でも銅及び銅合金は侵され易い。ゴムやブナ(ブタジエン系ゴム)は硫化水素
 劣化するが、ブチルゴム(イソプレンに1~3%のイソブチレン共重合)・
 ネオプレン(クロロプレン系)・塩素化ポリエチレン・ポリ塩化ビニルなどの合成ゴムや
 プラスチック類はよい耐食性を有している。
②硫化水素の装置や配管にはアルミニウムやステンレス鋼、あるいはプラスチック類を使用する。